小水力発電について
水力発電は、水が高いところから低いところに流れる力を利用して水車を回し発電します。そのうち比較的小規模なものを小水力発電と呼び、新エネ法の適用対象である出力1000kW以下を小水力とする事もあります。水力発電の種類は河川等から取水してそのまま発電する自流式、ダムに貯めた水を必要時に流し発電する貯水池式、電気の使用量が少ない夜間の電気で水を汲み上げ昼間に水を落として発電する揚水式があり、小水力では主に自流式が用いられます。
自流式の構造例は下図のようになっており、小水力発電を行うためには、関連する様々な設備が必要で、当社は発電所の仕様に合わせた設備の設計/製作/設置・立上げ/メンテナンスの提供が可能です。
小水力発電の流れ
-水の取込から発電と制御まで-
平面図イメージ
断面図イメージ
小水力発電の設備について
水門
取水口や排砂口に設置して開閉を行います。設計水圧が低い小水力発電ではスライドゲートの適用が多く見られます。当社は呑口幅1~2m程度のスライドゲート(自動/手動)の提供が可能です。なお、呑口幅についてはご要求サイズにより対応します。
ヘッドタンク
取水流量の変化を吸収する為に設置され、最大使用水量の1~2分程度の容量を確保します。ヘッドタンク水位を基準とし、クロスフロー水車はランナ中心まで、ペルトン水車ではジェットとランナの接触点まで、反動水車であるフランシス水車やチューブラ水車は放水面までの落差から損失水頭を引いたものが有効落差となります。沈砂池を兼用して砂を取り除いたり、スクリーンや除塵機を設置してゴミを取り除きます。水車の最大流量を超えた余剰水は、余水路から河川に戻します。
スクリーン/除塵機
河川に含まれるごみ(落ち葉や生活ゴミ等)が水車に詰まると発電出来なくなる為、スクリーンを設置してごみの流入を防ぎます。スクリーンは人力等により、多い時は一日数回ごみ詰まりの除去が必要ですが、ごみ詰まりを自動的に検知して取り除く除塵機を導入する場合もあります。当社はヘッドタンク仕様に合わせた除塵機の提供が可能です。
水圧管
ヘッドタンクと水車をつなぐ水圧管は、有効落差に相当する圧力に耐えるだけでなく、発電機故障等による水車緊急閉鎖時に発生する圧力(ウォーターハンマー)にも耐えるよう設計します。鉄管以外にも、小水力発電ではコストダウンのためFRPM管や、更に小規模では塩化ビニル管を使用する場合もあります。
水車
落差と流量により個々に設計され、種類は落差に応じて以下が選定されます。
中落差向け(10m~100m程度)
クロスフロー水車や横軸フランシス水車が候補となります。
クロスフロー水車
クロスフロー水車は、最高効率はフランシス水車に劣りますが、ガイドベーンを分割して流量の変化に応じて小ガイドベーン単独、大ガイドベーン単独、大小ガイドベーン両方を制御することで流量が変化しても常に高い効率で運転する事が出来る事や、構成部品が少なく構造が簡単なメリットがあります。
このため、水車の中では初期投資が小さく、保守費用も安く済みます。
フランシス水車
フランシス水車は発電用として最もよく使用され、効率が高く、吸出管により、水車より下の落差も利用できます。
大規模向けは立軸となりますが、小水力では横軸も使用されます。
当社では、クロスフロー水車とフランシス水車の提供が可能です。
発電量としては、数百キロワットが主流ですが、数十キロ~数千キロワットの水車も可能です。
低落差向け
プロペラ形の水車が候補となります。
大規模向けではガイドベーンの角度とランナベーンの角度が変えられるカプラン水車が代表的です。
S形チューブラ水車は横軸水車で、プロペラの先にある発電機を避けるように配管がS字形に曲がるので、その形に由来した名称がついており、軸のスパンが長いと振動の原因となる為比較的小型機に使用されます。
他に発電機が内蔵されるバルブ水車や、真っ直ぐな配管に挿入可能なマイクロチューブラ等があります。
高落差向け
ノズルからのジェット噴流でランナを回転させるペルトン水車などがあります。
遠隔操作・監視システム
遠隔地から発電状態、設備の運転状態、各計測機器データなどを監視致します。
発電系・水車系・除塵機系・水門系・全体監視・異常値監視など小水力発電の係わる全てのコンポーネントを遠隔監視し、必要に応じて迅速な遠隔操作が可能です。
取得したデータは、自動的に一定期間保存されます。その後、適切なメンテナンス時期の割り出しなど、小水力発電における最高パフォーマンスの実現に利用します。
遠隔地からの操作が可能な管理者・オペレータには各種権限の付与など万全なセキュリティが施されています。
遠隔監視・操作を行う機器は、通常のPCを利用するため、管理事務所内に大規模な設備を構築する必要はありません。